INTERVIEW

どうやって相手の特徴を覚える? 記憶のプロに聞く「初対面の人を忘れない」記憶術

by Eisai
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良好な人間関係を築くためには、きちんと相手の顔と氏名を覚えたいところ。しかし、名刺交換をした直後にど忘れしてしまう、初対面の人をなかなか覚えられない……そんな苦い経験をしたビジネスパーソンは少なくないでしょう。

記憶のメカニズムを解剖すべく、記憶力日本一の池田義博さんに10人の「顔・氏名・会話」を覚える記憶力クイズに挑戦していただきました。結果は見事に全問正解。「記憶力の王」の実力をまざまざと見せつけられました。

記憶のプロは初対面の人の「顔・氏名・会話」を瞬時に覚えられるのか? 10人のインタビュアーで実験してみました。

記憶のプロとはいえ、池田さんは、なぜこれほどのボリュームがある情報量をすんなりと記憶できたのでしょうか? 記憶のプロセスや情報をインプットするコツを伺いました。ビジネスシーンでも活かせる「記憶術」が満載です!

なぜ膨大な情報量をすんなりと暗記できたのか?

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——挑戦していただいた記憶力クイズは、全問正解でした。一気に10人の「顔・氏名・会話」を記憶するプロセスを教えてください。

池田さん:そもそも、映像情報である「顔」と文字情報である「氏名」をセットで覚えるのは困難です。しかも顔と氏名には、「田中さんという苗字の人はメガネをかけている」といった規則性もないですよね。じゃあ、どうするかというと「顔」と「氏名」の情報を1つの映像イメージに変えて、記憶しやすい情報のカタチに加工するんです。

――記憶しやすい情報のカタチとは、具体的にどのようなものですか?

池田さん:例えば「瀬名夏海(せな なつみ)」さんの場合は、彼女の背中に夏みかんがなっている姿をイメージし、「背と夏みかん」の映像情報と「せななつみ」という名前を紐付けました。そこに質問内容のイメージを重ねて関連付けることで、「顔・氏名・会話」の情報が1つのイメージになって脳に定着する、というプロセスです。

瀬名さんは「一番古い記憶は?」という質問だったので、背中になっている夏みかんに1つ変色した古い夏みかんを混ぜることで、質問内容をリンクさせました。彼女が一番覚えやすかったですね。逆に遠藤さんの質問【※】の記憶が薄かったのは、1つのイメージにまとめるのが難しかったからでした。

※遠藤さんは「記憶したいことはすぐに忘れてしまうのに、忘れたいことほど鮮明に覚えているのはなぜですか?」という質問をしました。

――氏名や会話を、文字ではなく映像イメージとして頭に残していたのですね。

池田さん:文字より映像の方が覚えやすいと僕は思うので、なるべく1つの映像イメージに変換するようにしています。例えば「パンダを思い浮かべてください」と言われたときに、「パンダ」という文字が浮かぶ人はそういないですよね。文字のままだと覚えたり思い出したりする情報の数が多くなるけれど、映像だったら1つでいいわけですから。

情報を記憶しやすいカタチに変換する

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記憶力クイズでは、1人あたりの接触時間はわずか2分ほどでした。あの短時間のうちに1人ずつ映像イメージを頭の中で作り上げていたとは驚きです!

池田さん:瞬時にイメージできるかどうかはトレーニング次第だと思います。僕は長年、記憶しやすいカタチに情報を加工するトレーニングを続けているので、短時間でできるようになりました。

今回の記憶力クイズのように、「顔・氏名・会話」という条件の異なる複数の情報を記憶するコツは、情報に対して意味付けをするなど、能動的にアプローチすること。これを「精緻化(せいちか)リハーサル」と言い、記憶を定着させるプロセスでは、非常に重要な役目を果たします。

——なるほど! 複数人のうち似ている風貌の人や特徴が薄い人がいた場合、うまく覚えるコツはありますか?

池田さん:似ているといっても一卵性双生児でもない限り、何かしら違いはあると思うので、その違いを見つけて印象を言語化してみましょう。「ワイルドな人」とか「好みのタイプ」とか。記憶術の鉄則として、「言語情報はイメージに変える」「顔・味・匂いといったイメージの情報は言語化する」ことで脳への定着率が高まると言われています。

——例えば、田中さんと中田さんなど、間違えやすい名前を正確に記憶することも可能でしょうか?

池田さん:それは、記憶に磨きをかける最終工程ですね。今回、田村さんという方がいて、「村の田んぼで作業をしているイメージ」に加工したんですが、それって村田さんでも当てはまるじゃないですか。でも、最後に「田村さんだぞ」ってグッと意識を集中させて脳に入れておいたから、覚えることができました。イメージで大枠を記憶し、詳細な部分は意識で定着させるというプロセスですね。

記憶するために欠かせない「集中力」と「アウトプット」

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――記憶力を高めるために、どのようなトレーニングをすればいいですか?

池田さん:記憶するためには集中力が必要なので、 自分の意識を操作できるようにトレーニングするといいですね。例えば、食事をするときにあえて「これは美味しい」と意識したり、緊張する場面では一歩引いて自分をみてみたり。自分の感情や特徴を分析できるように訓練することで、集中しやすくなり、記憶力の底上げにも繋がるのではないでしょうか。

記憶したいけれどどうしても集中力が高まらないときは、作業興奮を利用するのが賢い手です。やる気が起きるのを待つのではなく、まずは作業を始めてみる。そうすると、自然とやる気が湧き出て集中できます。

――仕事のために本を読んでも、内容を忘れてしまうことがあります。どのように本を読めば覚えていられますか?

池田さん:本の内容を全て覚える必要はありません。だいたい大事な部分は10〜20%ほどなので、僕はその本が伝えたいニュアンスだけを覚えるようにしています。読み終わったら、大きな付箋に要約を書いて、本の1ページ目に貼っておく。そのニュアンスだけを記憶すれば、調べ物をするときにすぐ目当ての本を探すことができます。

——早速実践してみます!最後に、覚えたことを長期的に脳に定着させる方法を教えてください。

池田さん:とにかく復習することですね。人の忘却曲線って翌日にズドンと落ちて、それ以降はなだらかに落ちていくので、まずは覚えた翌日に復習するのが何よりも大事です。その後は1週間後、2週間後、1カ月後とスパンを徐々に長くして復習を重ねると、長期的な記憶にすることができます。

より強く脳に定着させるには、アウトプットがおすすめです。一番いい方法は記憶した情報を人に説明すること。人間相手じゃなくても、好きなアイドルの写真でも、ぬいぐるみでもいいので、説明するクセを付けておきましょう。

【まとめ】

記憶力アップのポイントはこの3つ

1、複数の情報を脳の中で1つのイメージに加工する

2、情報の詳細はグッと意識を集中させてインプット

3、繰り返しの復習とアウトプットで、記憶を定着させる

情報をしっかりと脳に定着させるには、ただ眺めるだけでなく、情報へ適切にアプローチする記憶術が必要不可欠なんですね。記憶力アップのカギとなる「情報のイメージ化」には頭の回転の速さも求められますが、普段から意識的に行うことで徐々に身につけられるそうです。

記憶のプロが教えてくれた「記憶術」を使えば、ビジネスやプライベートの人付き合いがより円滑になるかもしれません。何かを覚えたいと思ったときは、ぜひこの記憶術を試してみてくださいね!

池田さんが挑戦した10人の「顔・氏名・会話」を覚える記憶力クイズの詳細は、下の記事をご覧ください。

記憶のプロは初対面の人の「顔・氏名・会話」を瞬時に覚えられるのか? 10人のインタビュアーで実験してみました。

【池田義博さんの著書】

『見るだけで勝手に記憶力がよくなるドリル』書影.jpg

見るだけで勝手に記憶力がよくなるドリル

著者:池田義博

出版社:サンマーク出版

発売日: 2019/6/10

取材・文:小林香織 企画・編集:水上歩美(ノオト) 写真:垰亮太

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どうやって相手の特徴を覚える? 記憶のプロに聞く「初対面の人を忘れない」記憶術

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